賢い人の分散投資−1.2

2. 分散投資の考え方

ここで、なぜ分散投資をするのかをよく考えてみると、結局、株式や債券の将来性が見通しにくいからなのである。もしも、将来のことが100%分かっていれば、分散投資は無意味な方法である。最もよい成績を上げることが分かっているA社のみに投資をするのがよい。それ以外のB社、C社、D社に同時に投資をすれば、総合的な運用成績を下げるだけである。

このように、分散投資をすることによって、運用成績を下げることになるかもしれないが、将来が不透明な中では、大きな失敗を避ける重要な戦略である。投資家にとっては、たとえば、倒産する企業の株式に0.2%投資をしていたとしても、分散投資によって、被害を最小限に食い止められたことになり、ほっとすることができる。一方で、最近、急成長した企業の株式にも0.2%投資をしていたことで、その値上がりの恩恵にも一部あずかることができたことになり、全く投資をしていなかった場合よりも喜ぶこともできる。よかったよかったというのが分散投資の考え方である。

もちろん、同じ状況のもとで、倒産した企業に全く投資しなかった人がいたとすると、その人よりは成績は悪くなるだろうし、急成長した企業に0.2%ではなく、10%投資をした人がいたとすると、その人よりも成績は悪くなるだろう。しかし、その様なぜいたくは言わないでおこうと考える。つまり、分散投資で得られるのは市場の平均的な成績となる。平均を上回る成績は期待できない。大きな損失を被った人よりは成績がよいが、大きく儲けた人よりは儲けは少なく、中程度の運用成績が期待できる。

  
   
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