賢い人の分散投資−1.8A | |||||||||||||||||||||
(A) 株式投資信託の平均運用成績は市場平均を上回っていない プリンストン大学の経済学部長を長年勤めたバートン・マルキール教授が、1988年7月から1998年6月までの10年間の株式投資信託の平均運用成績を調べたところ、年平均15.24%であった。一方で、株式市場の平均と考えられるS&P 500株価指数の成績は18.56%であった。(注)つまり、株式投資信託の平均成績は、市場平均を年平均で3.32%下回っていた。この結果、10年間の累計では、前者が313.05%、後者が448.88%となり、通算で135.83%という大きな差がついた。 |
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(注)バートン・マルキール著、井出正介訳 「ウォール街のランダム・ウォーカー」(1版1刷) 242頁 日本経済新聞社 1999年 なお、『S&P500株価指数』は、スタンダード・アンド・プアーズ社が算出する米国の株式市場を代表する株価指数で、ニューヨーク証券取引所、アメリカン証券取引所、NASDAQに上場している代表的な500銘柄の株価を基に算出されている。
世界最大級の投資信託運用会社であるバンガード・グループの創設者ジョン・ボーグルの著作「インデックス・ファンドの時代」(注)によると、1997年末までの10〜50年間の株式投資信託平均の運用成績と S&P 500株価指数の年平均リターンを比較すると次の表の通りとなる。期間の取り方によって多少のばらつきは見られるものの、株式投資信託平均のリターンが株価指数のリターンを年平均0.8〜3.4%下回っている。ただし、この株式投資信託平均の数字はそれぞれの時点で生存している投資信託の平均とみられるので、消滅していった投資信託を含めて考えると、その差はより大きくなるものと考えられる。
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(注) ジョン・C・ボーグル著 井出正介監訳 インデックス・ファンドの時代」 108頁 東洋経済新報社 2000年 (John C. Bogle "Common Sense on Mutual Funds: New Imperatives for the Intelligent Investor" John C. Wiley & Sons 1999年)
次の表に記載した通り、同様な調査で、1996年9月30日までの10年間について行なわれたもの(注)も報告されている。この調査では、平均的な株式ファンドの成績が、市場平均を年平均1.12%下回っているという結果になっている。ただし、ここでいう「平均的な株式ファンド」の定義が明らかにされておらず、生存者バイアスがかかった数字である可能性があるため、参考までの記載にとどめたい。
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(注)ツヴィ・ボディ、ロバート・C・マートン著、大前恵一朗訳 「現代ファイナンス論」(改訂版 第4刷) 58頁 潟sアソン・エデュケーション 2005年 |
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