賢い人の分散投資−1.8D | ||||||||||||
(D) 金融専門誌から表彰された投資信託のその後の成績もよくない 金融雑誌として著名なフォーブス (Forbes) は、投資信託の中から、毎年20個前後の優秀なものに「優等賞 (Honor Roll)」を与えている。その選考基準としては、単に過去の成績がよかったというだけではなく、将来性も高いと判断されるものであり、読者が投資をして、今後数年間保有するのに適していると考えられる投資信託であると説明されている。 そこで、1981年から1990年までの期間で、「優等賞」を受賞した投資信託の追跡調査をして、市場平均であるS&P 500をベンチマーク(運用成果の基準となる指標)とするインデックスファンドの成績と比較し、本当に上回る成績をあげることができたかどうか確認作業をしてみた。すると、受賞後の翌年の成績は、インデックスファンドとの比較で3勝7敗と負け越し、平均リターンでは市場平均を1.46%下回っていた。翌年1年間では短すぎたかもしれないと考えて、翌年以降の3年間に延ばして調べなおすと、これも3勝7敗で、インデックスファンドを年平均2.0%下回っていた。さらに、5年間について調べてみても、3勝7敗で、インデックスファンドを年平均1.4%下回っていた。なお、この調査にあたって、「優等賞」の一部について、手数料控除前の実績に基づいて計算したので、実際にはその差はもう少し大きくなる見込みとの注釈がついている。(注1) フォーブス (Forbes) の評価は投資家に与える影響力が大きいこともあり、別の調査も行なわれている。1974年から1990年の間に「優等賞」を受賞した投資信託の翌年の運用成績を積み上げて複利計算をすると439.7%となった。この間の市場平均の利回りは通算で633.4%なので、市場平均を193.7%下回ったことになる。(注2) |
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雑誌以外でも、金融情報会社などから会員向けに送られてくるニューズレターに、今、買い時の株式とか、売り時の株式などといった情報が出ている。これは、ある程度信頼してもよいものだろうか。 米国デューク大学のファイナンスを専門とする教授2人が、この種のニューズレターの中で信頼度の高さで上位10%と言われているものについて調べ、その推奨にしたがって1991年から1995年まで投資をしたところ、年平均12.6%の運用成果を得られた。一方、その推奨を無視して、インデックス型投資信託に投資をしていた場合には16.4%の運用成果を得られた。つまり、推奨にしたがって投資をしても、市場平均を下回る成績しか収めることができなかった。なお、この調査では、購入時の手数料を考慮していないので、考慮後では、さらに差が大きくなっていたはずとのことである。(注3) (注1)Austin
Pryor, Sound Mind Investing 「This Brings Us to the
Forbes Theory」 (注2)Index Fund
Advisors 「Manager Ratings」 (注3)ベンジャミン・グレアム&ジェイソン・ツバイク著、増沢和美、新美美葉、塩野未佳訳 「新 賢明なる投資家 上」(第4刷) 319頁 パンローリング株式会社 2006年 |
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