賢い人の分散投資−2.10

  

10. 公社債投資信託

日本の低金利が続く中で、海外の公社債に投資をする投資信託の人気が高いが、その中でも有名なのが「グローバル・ソブリン・オープン(毎月分配型)」(通称グロソブ)だ。年金のように毎月分配金を受け取れることから、爆発的な人気となり、純資産規模は、20088月のピーク時には約57000億円に達した。しかし、その運用成績は必ずしもよくない。設定後、約9年経過した時点で、その運用成績は『シティグループ世界国債インデックス』などの市場平均である指数を大きく下回った。つまり、最初から同様なインデックスを目指したETFを購入していれば、グロソブよりも、通算で10%以上余分な運用益を得られたことになる。グロソブの信託報酬が年1.25%(税抜き)なので、この場合も、高めの信託報酬が運用成績を悪化させているという面が強そうだ。2008年以降、解約が相次ぎ、純資産規模は、2011年2月3日時点でで27600億円、2023年1月27日時点では、わずか2800億円となった。

このように、公社債投資信託の場合も、株式投資信託と同様で、手数料の安いETFが最も優れている。個人が投資信託というツールを使って公社債に投資をする場合には、このように手数料の割高な、一般の公社債投資信託を選択肢として考える必要はない。

なお、無差別分散投資向きポートフォリオのところで述べたように、国内債券のみを対象としたETFがまだ存在していないことから、この部分を増やしたい場合には、インデックスファンドを利用するのがベストとなる。一方、海外債券を対象とする部分については、原則として海外ETFを利用すべきである。ただし、海外のETFの最低投資額が10万円弱とやや大きめであることから、これよりも小口の投資の場合には、インデックスファンドを利用することになろう。

  
   
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