賢い人の分散投資−2.6D

  

(D) 複数の新興国株式対象型ETF

複数の新興国株式を扱ったETFのうち、純資産額 80億米ドル(約1兆円)以上の代表的なもの 3本を、以下に掲載した。

ただし、世界の株式市場の時価総額(浮動株調整後)でみた場合、先進国のシェアが87〜88%を占めており、新興国は全部合わせても12〜13%に過ぎない。(注) したがって、新興国株式だけで、運用資産の25%以上の投資をすることは、無差別国際分散投資の方法としてかたよっていると言える。また、新興国経済については、現在人気が高く、世界各国から資金を集めているが、ひとつの国に信用不安が起きた場合に、投資家の不安心理の連想ゲームが働いて、他の新興国からも資金が引上げられ、株価が一斉に暴落するということも起こりうる。したがって、複数国とはいえ、新興国に高い割合の投資をするのは、リスク分散という観点からは注意を要する。

 

 (2022年12月末現在)
主なETFの名称 ティッカー 連動対象株価指数 年間総
経費率
純資産
(億ドル)
バンガード FTSE エマージング・
マーケッツ ETF
VWO MSCI エマージング マーケッツ
オールキャップ
(含む中国A株) 指数
0.10% 681
(8
兆円)
i シェアーズ・コア MSCI エマージング・
マーケット ETF
I EMG MSCI エマージング マーケット
IMI インデックス
0.09% 632
(8兆円)
i シェアーズ MSCI エマージング・
マーケット ETF
EEM MSCI エマージング マーケット指数 0.68% 229

  

(注1) 各国の株式市場の規模を判断する場合に時価総額を用いる。その際に、各国政府や創業者が保有していて、一般の投資家が売買できない部分を除くのが一般的である。新興国の上場企業の発行済み株式の中には、各国政府が保有していている割合が特に多いことから、浮動株調整前の時価総額シェアでは19%だが、浮動株調整後のシェアでは13%となどなる。

(注2) 『MSCI エマージング・マーケット・インデックス(指数)』は、モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル・インクが算出する新興国投資における代表的な株価指数で、対象国は25ヵ国前後で変動している

  
   
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