賢い人の分散投資−3.11

  

11. 5%ルール

比較的新しく登場した金融商品について、ある程度詳しい人が解説をしている文章を見かけることがある。その際に、この商品はよい商品だが、投資する際には自分の資産構成(ポートフォリオ)のうちの5%程度に押さえておいた方がよいなどというコメントをしばしば目にする。

たとえば、新興企業株式や、日本のREITJ-REIT)などについて、専門家と言われる人が解説を行なっていて、その最後くらいに、「高い収益性が期待できる魅力的な商品だが、投資を行なう際には、ご自分の資産の5%の範囲内にとどめておいた方がよいだろう」と述べていたとする。これは、果たしてこの商品を勧めていることになるのだろうか。専門家が、5%しか投資をしない方がよいと言っているということは、この商品を勧める自信がないと言っているのではないだろうか。

責任感を持った専門家の立場になってみるとわかるはずだ。ある金融商品販売会社から、ある金融商品の推薦文を書いてほしいと言われたとする。人間関係を維持し、また原稿料をもらうためには、推薦する必要がある。一般に、金融商品というものはどんなものでも必ず損をするというものではなく、運がよければもうけられる可能性が少しはある。しかし、どうも損をする可能性がかなりありそうだ。そんな金融商品を推薦する際には、推薦者は責任のがれの道を残しておく必要がある。「5%程度に押さえておいた方がよい」という言葉はそんな時の言葉だと考えてよいのではないだろうか。

それを見聞きした一般の投資家は、そのように、自信をもって勧められない商品に、自分の大切な資金を投資する価値はないと考えた方がよさそうだ。一方で、信頼できる専門家が、特に制限を設けず、たとえば資産の3割とか5割とか投資をしてもよいといっているような金融商品であれば、これはかなり自信を持って勧めていると考えて、まじめに検討してみる価値がありそうだ。

5%の範囲内で投資をした方がよいとコメントされた商品は、事実、多くの場合、リスクが大きい割合には、それに見合った利益が将来期待できないような商品であることが多い。この種の商品で運用した場合、大きな利益が得られることも、たまにはあるかもしれないが、逆に大きく損をすることもあり、平均的な成績は決してよくない。この種の商品で、安定的に高い運用利回りを得ることは期待しがたい。

  
   
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