賢い人の分散投資−3.15

  

15. アクティブ型運用との差異

選択的分散投資をさらに押し進めて、上手な分散投資をするためには、よいものと悪いものを見分ける目が必要になる。将来性のあるものと将来性のないものをかぎわける嗅覚が必要になる。

結局、幅広い分散投資をしなさいと言っている人々は、先を読むことができず、どれが値上がりする商品で、どれが値下がりする商品なのか、ほとんど見当がついていないのではないだろうか。あるいは、真剣に先を読むことを、既に諦めてしまっている可能性も感じられる。

よい投資対象を選ぶことが本当に可能なのであれば、アクティブ型投資信託でも市場平均を上回ることを期待してもよいのではないかと思われるかもしれない。ところが、アクティブ型の運用においては、ファンドマネージャーの問題が、主に2点ありそうだ。ひとつは、近い将来、値上がりしそうな銘柄を選ぶ傾向があることであり、もうひとつは、次々と頻繁に銘柄を入れ替えることである。つまり、市場平均を上回る成果を出そうとして、短期的な視点で値上がりしそうな銘柄を選び、次々と投資先を変えることを意味する。

本当は、よい投資先を選ぶ際には、短期的によさそうな先ではなく、中長期的によいと思われる先を選ぶ必要がある。しかし、ファンドマネージャーは、短い期間ごとに運用成績を報告しなければならないので、長期的な視点を持ちにくい傾向がある。これに対して、個人投資家が余裕資金を運用する場合には、短期的な視点ではなく、中長期的な視点で運用をすることができる。短期的に値上がりするかどうかを判断することは、ほとんど不可能に近いが、中長期的に値上がりするかどうかを判断できるということは少なからずある。ウォーレンバフェット氏のように、中長期的な視点でよい先を見つけてじっくりと保有し続ければよい。そのような銘柄選択を一旦行なえば、短期的な売買をする必要はなく、つまりアクティブな銘柄入れ替えをする必要はない。短期的な売買を繰り返すと、コスト分だけ確実に成績を下げることになる。

  
   
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