賢い人の分散投資−3.17

  

17. 分散投資はいくつの先がよいのか

ところで、よいと思う個別先を選んで分散投資を行う場合に、どのくらいの先数に分散するのが適当なのだろうか。

そもそも分散投資とは、よいと思う先1先だけでは、期待外れに終わる可能性もあるので、よいと思う先を5先とか10先とか選んで投資をする、これが分散投資である。さほどよいと思わない先に投資をすることが、よい結果を生み出す可能性は低いので、良し悪しが少しでも分かる場合には、分散はしすぎないことが大切である

よいと思う先1先のみに投資をするよりも、よいと思う先10先に投資をすることの方が望ましい可能性は高い。しかし、10先に投資をするよりも100先に投資をする方が望ましいかどうかは疑わしくなる。さらに増やして、100先に投資をするよりも1,000先に投資をすることのほうが望ましいかと言われると、これは恐らく望ましくない。自分で1,000先もの将来性の高い先をみつけることは難しいからである。

分散投資の先数としては何先くらいが適当なのであろうか。 この質問をする場合には、投資信託の売り手ではない人に聞くことが望ましい。投資信託の関係者は、利害関係者であり、多めの先数を答える可能性が高いと思われる。

既に名前の出てきた、ベンジャミン・グレアム氏は「普通株式で分散投資をする場合、十分な、しかし過度にならない程度の分散投資をする。たとえば10銘柄以上、30銘柄以下が望ましいであろう。」と述べている。(注1)一方、よい先を、自信を持って選んできたウォーレン・バフェット氏の場合は、一般の人が投資をするにあたって、5銘柄か10銘柄、多くとも15銘柄までが適当であって、20銘柄以上に投資をすると市場平均に近い成果しか残せないと述べたそうである。よい銘柄を選ぶ眼力のレベルによって、多少の差は出るだろうが、いずれにしても、そんなに多い先数ではなさそうだ。

  

投資信託を利用して分散投資を行う場合でも、必要以上に多くの先に投資をする必要はない。ひとつの投資信託だけでも何十先、何百先に投資をしていることになる。その上、10個も15個もの投資信託に投資をする必要などないはずだ。幅広い先にまんべんなく投資をする「無差別分散投資」は「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」という方式であり、確かに同時にたくさんの弾(タマ)を撃てば、中には偶然獲物に当たるものもあろうが、無駄弾の方が多くなることから、とても効率的な方法とは言い難い。つまり、選択的分散投資と比較して、無差別分散投資はリスクを拡大させ、運用成績をむしろ下げる可能性が高い。

わが国の個人投資家がもっている資産規模は1,4001,500兆円と巨額であるのにも関わらず、一般投資家の投資基準が「無差別分散投資」、ないしはそれ以下のレベルにとどまっていることによって、海外の経験豊かな投資家と比較して失っているものは大きい。(注2)

  

(注1)ベンジャミン・グレアム&ジェイソン・ツバイク著、増沢和美、新美美葉、塩野未佳訳 「新 賢明なる投資家 上」(4) 209頁 パンローリング株式会社 2006

(注2)米国でも、2030年前までは、日本と同じように、証券会社などの販売員の勧めるままに投資をして、投資家が損をするというケースが多数見られたと言われる。そのような歴史を経て、投資家が少しずつ賢くなってきている面がある。

  
   
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