賢い人の分散投資−4.1

  

第4章 2種類のリスク

  

1. リスクの理解

投資に際しては、リスクについての正しい理解が欠かせない。一般の預金者が預金をする場合でも、信頼できる銀行であるかどうかを考えた上で預金をする。特に、1,000万円を超える預金者の場合には、銀行の格付けが一定レベル以下に下がった場合には、預金残高の一部が払い戻されない可能性があると考えて、1,000万円を超えないように残高を調整するであろう。

債券投資を行なう際にも、たとえ利回りが高めであったとしても、格付けのあまり低い債券は避けるはずだ。格付機関では、債券の発行体が元利金を期限まで払い続けることができるかどうかを判断して、払い続ける能力が高いと考える債券には高い格付けを与えている。一般投資家は、一定以上の高い格付けの債券(トリプルB以上の投資適格の格付けの債券)に投資をすべきであって、信用リスクが大きい債券(ダブルB以下の投機的格付けの債券)への投資を避けた方がよいとされている。

このように、預金や債券の場合、リスクが大きいということは、格付けの低い先に投資をして、元本や利息の支払いが予定通り行われなくなる可能性が高いこととして理解されている。

しかし、最近のポートフォリオ理論と呼ばれるものでは、リスクが小さいということは運用成績のブレの範囲が小さいこととして定義されており、債券投資などにおける昔からの理解とは、ずれが生じている。どちらが正しのだろうか。第4章では、リスクというものについて解きほぐして考えながら、この問題について検討していきたい。

  
   
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