賢い人の分散投資−4.3 | |||||||||||||||||||||
3. 株式投資と格付け 一般の投資家が利用している格付けとしては、公社債の格付け、投資信託や証券化商品などといった金融商品の格付けをはじめとして、債券を発行している企業・国・地方公共団体の格付け、銀行・保険会社のような特殊な業界の格付けなど、様々なものがある。そして、これらの格付けは、預金、債券、その他の金融商品などで資産運用をする場合に利用される。しかし、株式投資についてだけは、格付けを利用することが一般的ではない。なぜだろうか。 株式は、株価という形で、既に一般の人々に評価されているので、格付けは不要であるとも考えられる。しかも、信用度の低い企業は、一般にあまり人気がなく、株価は低い水準にあるので、株価が上昇するチャンスがあり、うまくいけば、信用度の高い企業と同じように値上がり益を得られる。そこで、格付けは、債券投資などの場合には考慮すべきだが、株式投資の場合には考慮する必要がないといった答えが返ってくるかもしれない。 債券を発行している発行体の格付けは、債券発行者の信用リスクを評価してくれているのだが、株式投資では株価の変動だけをみればよく、つまり、株価変動リスクを考えるだけで十分であって、信用リスクの問題は考えなくともよいのだろうか。そんなことはないはずだ。 株式を上場している企業で、同時に社債を発行しているケースが多いが、予定された社債の元本や利息の支払いができなくなった場合には、債務不履行(デフォルト)となる。この場合、社債の元本が大幅にカットされて支払われる。過去の例では、元本の2〜3割しか返ってこないのが普通である。その際に、その会社の株式は無価値となるか、無価値とならないまでもただ同然となる。 債券であれば元本の一部しか返ってこないのだが、それでも少しは返ってくる可能性がある。しかし、株式の場合は回収可能性がそれ以下となる。つまり、株式投資においては、債券投資の場合にも増して、信用リスクが深刻な問題となる。したがって、格付けの低い先には株式投資をしない方がよいということになりそうだ。
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長期格付けの例 | |||||||||||||||||||||
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