賢い人の分散投資−4.6

  

6. 様々なリスク

このように投資先の質が低く、投資資金が返ってこない可能性がかなりあるような先、つまり信用リスクの高い先は、何らかのきっかけで大きな惨事を引き起こす。信用リスクが表面化した場合、株価は大きく下落して、再び回復しない。企業が競争力を失うとか、資金的に破綻するといった場合には、いくら待っても株価は元の水準に戻らない。投資家は、このような事態が起こりうるような先を避ける必要がある。

信用リスク以外にも、インフレリスク、流動性リスク、為替変動リスク、価格変動リスクなど様々なリスクがある。これらのリスクを投資家の立場から考えてよう。

まず、インフレリスクとは、100万円の運用をしている間にインフレが進行して、実質価値がどんどん下がり、満期が来た頃には大幅に目減りしているというリスクである。価格変動リスクの一部として定義されることもあるが、一般的な価格変動の場合には、また元の価格に戻る可能性があるのに対して、インフレによる全般的な物価上昇の場合には、元の価格に戻る可能性がほとんどないということもあり、ここでは区別して取り上げた。

次の、流動性リスクとは、運用している金融商品を途中で換金しようとした時に、たまたま買い手がつかずに換金できなかったり、わずかながら買い手がいたとしても、本来よりもかなり不利な条件で換金せざるを得なくなったりするようなリスクのことである。

また、為替変動リスクとは、外貨で運用をしている間に、その外貨が値下がりして日本円に戻した場合に目減りをしてしまうといったリスクである。中長期的にはその国の経済が弱い場合に起きやすいが、短期的には様々な経済要因で為替が下落することがあり、さらに経済の状況に変化がなかったとしても、投資家の一時的な人気や、政府高官のちょっとした発言によって、何円か円高になり、思わぬ為替差損を被ったなどということがしばしば見られる。

最後の、価格変動リスクとは、様々な要因で株価などの価格が変動するリスクである。これには投資先の実態の変化による場合もあるし、実態が変わらなくとも、金融市場における投資資金・投機資金の増減や、投資家の人気・評判などによって価格が変動するということもある。収益力が次第に向上するにつれてトレンドとして株価が上昇したり、業績が次第に悪化するにつれて株価が下落したりするのは、前者の価格変動である。一方、投資先の実態に変化がないにも関わらず、株価が短期的に変動するのは後者のケースである。

このうちの後者の価格変動については、事前の予測が困難であり、上手に対応しようとしても対応できるものではない。しかし、この種の変動は、短期的な資産運用をしている人を除いて、あまり恐れる必要はない。このような実態と市場評価との乖離はどんどん拡大し続けるということはなく、いずれ、乖離幅が縮小する時期がくる。したがって、余裕資金を中長期的に運用している場合には、そのタイミングまで待っていればよい。信用リスクのような、実態の変化に基づく価格変動の場合とは異なり、この種の短期的な価格のブレは、あまり気にする必要がない。

ただし、たとえ待っているうちに行きすぎた価格が戻ってくるとしても、あまり価格変動のブレ幅の大きなものは避けた方がよいかもしれない。将来の価格というものは、企業の収益性や投資家の動向など、様々な要因で変動するので、特定の値として予測できるものではなく、将来起こるかもしれない事態に応じて、一定の幅を持った値となる。その際に、将来の予測のブレ幅が大きいケースと、比較的小さいケースとがある。投機資金などの短期性資金が集まって、一時的に価格が高騰することがある一方、価格が下落して運用成績が著しく悪化する可能性が多分にあるような投資対象を避けたい。つまり、100%以上の値上がり益が期待できるかもしれないが、逆にマイナス80%ともなって、大きな損をする可能性もあるような投資対象は避けた方が賢明だろう。それよりは、ブレ幅が小幅な方がよい。

プラス100%の可能性とマイナス80%の可能性のある投資の平均利回りはプラス10%となるが、もしもできるなら、同じ平均10%でも、5%から15%といったプラスの範囲でぶれる投資対象の方が望ましい。たとえマイナスとなる可能性があるとしても、できるだけその可能性が少ない投資対象が望ましい。

一時的な人気から、収益性・将来性を上回って価格が高騰している、いわゆるバブル現象が生じているケースも、ブレ幅が大きいケースに含まれる。短期的な価格変動は、予測した通りに動くものではないので、価格高騰を利用して儲けようとするのではなく、バブル現象が認められる場合には、投資対象として避けた方が賢明である。

  
   
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