賢い人の分散投資−5.7

  

7. 周囲の声に惑わされない

限られた数の国々で分散投資をしていると、今日の風潮では、周囲から雑音が聞こえてくるかもしれない。「あなたの投資先にA国、B国、C国といった経済成長率の高い国々が含まれていません。これらを含む別の投資信託をポートフォリオに含めた方がよいでしょう。」などと、親切な助言を受けるかもしれない。しかし、そのような雑音は、余計なお世話ということで、無視してよい。その人は、ほとんどの場合、別にリスクについて理解した上で言っているわけではないのだ。

 

P国について、非常に詳しいQ氏がいて、近い将来P国が経済的に行き詰る可能性が相当程度あるという判断をしていたとする。Q氏は分散投資に際して、当然P国を外す。その場合でも、他の人からP国を含めた分散投資を勧められる可能性がある。たとえば、知り合いのR氏から、「P国は急成長する可能性がある。その場合には投資をしないことで損をする。確かに経済的に行き詰る可能性もないとは言わないが、その場合も分散投資することで、被害は最小限に抑えられる。だから、分散投資の一部にP国を含めた方がよい。」などと言われるかもしれない。しかしQ氏はR氏の助言を無視するはずだ。

一般に、将来の経済や金融を予測できない人ほど、幅広い分散投資を好む傾向があるので、将来をより的確に予測している人にとっては、的外れな指摘となる可能性が高い。幅広い分散投資を勧める人は、ほとんどの場合、リスクについて深く考えて言っているわけではない。分散投資がすべてのリスクを薄めてくれるので、少しくらい怪我をしてもいいじゃないかと言っているのに過ぎないのだ。

  

X氏は数年前までの株価が伸びている時期には株式投資信託で運用していたが、株価が高値水準にあると考えて、近年は、すべて公社債投資信託に切り換えて運用していたとする。そこにY氏が来て、「公社債投資信託のみで運用するのは、いかがなものか。みすみす株価が値上がりをした場合のチャンスを失うばかりではなく、インフレリスクに対しても弱いので、少なくとも、3分の1くらいは株式投資信託を持つべきだ。」と勧めるかもしれない。

どのような範囲の分散投資を行なうかは、その時点で、それぞれの人が、どのような展望をもっているかにかかっているのであって、Y氏のように、他の人の見通しを不適当だということは気軽に言えるものではないはずだ。X氏の分散投資の内容が、リスクを取りすぎていると考えられる場合や、その人の経済や金融の展望が不適当だと考える場合には、Y氏は、そのような点について、X氏と話し合ってみることは好ましいことであろう。しかし、それ以上踏み込んで、投資を勧めるためには、相当程度、投資リスクや経済・金融の見通しに詳しい人でなければならないはずだ。

  
   
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