賢い人の分散投資−5.9

  

9. 世界の主要通貨と為替リスク

米ドル、ユーロ、英ポンドといった主要通貨の為替相場推移表を掲載したが、これを見ると、高金利通貨の場合と相違し、一方向にぶれ続けるという傾向は見られない。円高だとか円安だといって話題になるが、中長期の投資においては、高金利通貨に比べれば為替リスクは大きくない。高金利通貨の為替リスクが、いわば回復困難なリスクなのに対して、主要通貨の為替リスクは、どちらかというと回復可能なリスクであると考えられる。たしかに、長期的に強い通貨を選択した場合でも、一時的に為替が弱くなることがあるが、いずれ回復するような変動が多く、その間動揺しないで待つことができれば、大きな為替差損を生じるようなことはない。

  

主要通貨の為替相場(対円)

  

現在、1ドル80円台の円高が続いているが、このような円高水準がいつまでも続くとは考えにくい。先進各国は景気の悪化を受けて、自国通貨の為替レートを通貨安に誘導することに成功し、今後、通貨安によって輸出を伸ばし、景気の回復を図る体制を整えた。ところが、日本は、通貨安に誘導する有効な手を打つことができず、逆に、1ドル80円台という、史上最高レベルの円高が続いており、景気の低迷から抜け出す道筋は見えていない。財政面でも、国際的、歴史的に例を見ない累積した政府債務の重荷が増し続けており、これ以上債務を増やさないように増税策をとれば、景気の悪化を招く。

結局、通貨安競争の敗者が日本なのであり、高水準の円高が続けば、輸出企業が生産を海外に移すために、貿易収支、国際収支も次第に悪化し、GDPも減少する。このようにして、日本だけが景気回復から取り残されるという傾向が強まる中で、円高傾向がいつまでも続くということは考えにくい。円高がさらに進むことを心配する人が少なくないが、それよりも、これが最後の円高水準となる可能性を心配した方がよいのかもしれない。

  

世界の各国が外貨準備として保有している通貨を見てみると、米ドル61.3%、ユーロ26.9%、英国ポンド4.0%、日本円3.6%、スイスフラン0.1%、その他3.8%である。(20109月末現在、IMFCOFER統計資料より) ここに記載された以外の通貨については、外貨準備として保有することは一般的ではなく、各国政府・中央銀行にとって魅力がない通貨であるということを意味する。このような主要通貨は、貿易決済でも同じように使われ、国際的な取引量が多く、為替変動という点でも、これら以外の通貨と比較して、安定的に推移している。

世界の多くの国の富裕層は、金融資産を自国の通貨建てのまま保有することを、むしろリスクが大きいと考え、この種の強い通貨に交換して運用したがる傾向が強い。日本人も、表面上の金利が高いかどうかといった基準で通貨を選ぶのではなく、あるいは幅広い種類の通貨に分散投資をしようとするのではなく、できるだけ強い通貨で分散投資をすることが望ましい。

  

  
   
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