(株)FP総合研究所 
お役立ち情報:確定拠出年金
  
iDeCo 受取り時の税金や社会保険料を誤解していませんか?
       
  iDeCo(個人型確定拠出年金)は手取りの少ない欠陥商品
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◆業務内容       確定拠出年金は、現役時代に一定の掛金を積み立てて運用し、退職後に
  生活資金として受け取る制度で、国民年金や厚生年金を補完する制度です。
◆プロセス       この制度は米国で 401k または DCと呼ばれ、日本では 確定拠出年金
◆お約束       またはDCと呼ばれています。
   確定拠出年金には、企業型と個人型があり、企業型では、その掛金を
◆料金表      勤務先企業が負担して、個人がその運用方法を決めるのに対して、個人
◆会社概要       型では、掛金を負担するのも、運用方法を決めるのも個人となります。
   この個人型については「iDeCo」とも呼ばれています。
◆お問合せ        
◆お役立ち       この iDeCo という制度については、金融業務にかかわっている
   人たちをを含めて、非常に誤解されていますので注意を要します。
◆制度改正      iDeCo で積み立てた資金を、退職後に年金形式で受け取る際には、
◆リンク集      ほぼ全額を受け取れるものと勘違いしている人が多いのですが、それは
   正しくありません。恒久的な非課税なのではなく、退職期までの課税の
      繰り延べにすぎないので、税金や社会保険料について、しっかり考える
      必要があります。  
        年金の手取りがいくらになるのかということは、その気になれば誰で
       も簡単に計算できます。 iDeCo が退職後の資産作りによい制度だと言っ  
       ている人は、その計算をしたことのない人なのでしょう。  
        以下に説明する通り、特殊な場合を除けば、iDeCo という制度を利用  
       しないで普通に運用した場合の方が退職後の年金の手取りが多くなりま
       す。  
         
      iDeCoを利用しない方が退職後の生活が豊かになる
         
       iDeCo は積立期間中の課税を繰り延べて、年金受け取り時点でまとめ
      て課税するという制度です。iDeCo の年金を受け取る際には公的年金等
       控除の対象となって節税効果があることをセールストークにしています  
       が、平均的な老齢基礎年金や老齢厚生年金の受給者は、すでに公的年金  
      等控除を使っているため、 iDeCoで年金を上乗せを図った際に、公的
      年金等控除は全く増えないか、ごくわずか増えるだけで、節税効果はほ
       とんどありません。  
       この結果、iDeCo の年金額に対して、通常、所得税 5〜10%(所得に
       より5〜20%)、住民税10%、社会保険料13〜15%(健康保険料と介護  
       保険料との合計で、居住する自治体と所得により12〜18%)が課されま  
      すので、手取りは7割程度になります。
       なお、東京都内の自治体居住者は、社会保険料の料率が標準よりも1%
      程度低めなため、手取りの割合がやや高くなります。一方、公的年金に
     加えてまとまった金額の不動産所得、事業所得、企業年金などの所得が
      ある場合には、所得税率・介護保険料率が高くなり、手取りの割合が通常
       よりも低くなります。  
         
       現役時代に iDeCo の掛金を拠出した際には、掛金分の所得税・住民税
      を払わずに済みましたが、年金受け取り時点では、所得税・住民税に加え
      て、社会保険料を負担する必要があります。
        つまり、入口(積立時)には、節税を図れるように見えるのですが、  
       出口(受取時)には、しっかりとしぼり取られる制度なのです。  
       平均的な公的年金受給者が iDeCo を利用せずに、給与収入の一部を
      同一の金融商品で運用した場合と比較してみると、積立期間中の運用利
      回りが年6%以上と十分に高く、かつ積立期間が30年以上と十分に長い
      という数少ないケースでは、 iDeCo の方が有利になり得ますが、それ
      以外の場合には、通常の運用の方が手取りが多くなります。
       通常の資産運用では、運用益部分のみに対して約20%の源泉分離課税
      が行われるだけです。社会保険料の負担が増えることはありませんし、
      もちろん、iDeCo 特有の管理手数料や年金受給時の手数料などを毎年
      払う必要もありません。  
         
       これに加えて iDeCo には、もうひとつの大きな問題があります。
      2026年4月以降、運用残高に対して、毎年1.173%の特別法人税と特別
      住民税が課されることになっています。実施されることになると、毎年
      の運用利回りが1.173%低くなります。 運用利回りがこれより低い場合
      には、元本が毎年目減りし続けることになります。
         
      NISAの利用について
         
       iDeCo の年金手取り額と、通常の資産運用の手取り額とを比較して
      みましたが、通常の資産運用でNISAを併用すれば、さらに有利になり
      ます。通常の資産運用では、約20%の源泉分離課税という負担がありま
      すが、NISAを利用すれば非課税となって、その負担さえなくなります。  
       幸いにして、2024年からNISAの制度が改正されて、非課税枠が大き  
      くなります。この結果 iDeCo は完全に存在意義を失いました。  
      iDeCoで積み立てをするのではなく、NISAをできるだけ利用しながら  
      資産作りをすることが最も賢い選択となります。  
       NISAを利用するとしても、何を投資対象として選ぶかは、非常に重要  
      です。できるだけ期待利回りの高いものを選ぶようにし、利回りがマイ  
      ナスとなる可能性が明らかにあるものを選ばないようにしたいものです。  
       なお、投資対象の選び方については、拙著「年金難民世代が経済的自  
      由を得る法」(Kindle版) をご参照下さい  
           
          
              
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